[2.望んじゃいけない] (青色odaiシリーズ:姫&騎士) 愛して欲しいなんて、望んではいけない。 触れたいと、願ってもいけない。 「姫」 城内の片隅にある図書室で、梯子に腰掛けて書物を読みふける彼女に声をかける。 「またこちらにおいでだったのですね。お探ししました」 栞を挟んで彼女がパタンと書物を閉じた。 「今、行くわ。きゃ・・・」 立ち上がろうとした瞬間、安定感のない梯子がぐら、と揺れ、彼女の身体が傾いた。 「っ・・姫!」 咄嗟に降ってきた細い身体を宙でキャッチするも、勢いあまってそのまま地面にすべりこんでしまった。 つくりの良い敷物とはいえ、余りの摩擦に思わず顔をしかめつつ、主人の安否を問う。 「ご無事・・・ですか」 「ええ、ありがとう・・・貴方は・・その・・大丈夫?」 「ええ、このくらいなんてことないですよ。無事で何より。お気をつけ下さいませ」 はっとなる。 今の状態は主人を抱きしめた状態。 こんな所見られでもしたら・・・・冷や汗が伝う。 「ご無事を確認できたので、・・・・その、お降り頂いてもよろしいですか」 「あ、ご、ごめんなさい!」 慌てて降りてくれる主人に、苦笑一つ。 その顔が赤くなっているのを見て更に愛らしさが湧き上がる。 スカートの裾をパンパンと払って、立ち上がらせる。 「ありがとう」 笑顔で部屋を後にするその背中に、溜め息が零れ落ちた。 頬の赤みを気がつかれなくて本当に良かった。 「・・・・・貴女をずっと抱きしめているわけにも、いきませんからね」 それは、望んではいけない秘めた思い。
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