(orignal)


たじろぐ手に、指先を絡ませて、視線をあげる。

「スキだ」


キスが出来そうなほどに顔を寄せて、囁く。

「今、も」

たじろいでいた手は、僕の指先を掴んだ。
うれしさのあまりに自然と笑みが零れだしていた。

ザクッ。

瞳が驚愕と痛みに満ちて僕を見つめていた。

次の瞬間、空いていたもう片方の手に握っていたサバイバルナイフは黙って相手の腹腔に吸い込まれている。
反動で肺に送り込まれていた酸素が声なき声として噴き出された。

そっと、身体を引く。

ドサッ。

重力にしたがって、身体は地面へ追突した。
もう瞳は何も映さない。

「ばいばい」

ああ、殺害という裏切りこそ、今の僕の快楽。
その快楽のためなら、裏切りの何とたやすいことだろう。



月明かりが照らし出す血液に、ただキスをした。


「嗚呼、赤は何て美しいんだろう・・・!」




ツブヤキ→頭のオカシイ殺人鬼の心境みたいな。うん、やっちまったな☆
BACK?