どうか、彼の人に幸あらんことを。
 


生まれたとき、私に最初に芽生えたのは恐怖だった
いつも何かに怯え、周囲はそれを不思議がった
物心ついた時に気がついたそれは
自分がこの世界から

この宇宙から消えてしまう事実

嗚呼恐れていたのはこれだったのだ
人がいずれ迎えるもの
当たり前の真実を私は誰よりも早く
誰よりも先に知っていたのだ
怯えていたのは私自身にだったのだ


沢山泣いて喚いても心は晴れず
曇りよどんで過ごす毎日
それは嗚呼 貴方と再会した日のようだった
    でも
 
でも


 貴方はそんな心に降っていた雨を晴らして 
その水を活かし 私の心に花を咲かせた


私が激しく記憶していても
        
   貴方は覚えていないだろう
私が居なくなって ようやく気がつくだろう
   それでいいのだ 



貴方は言ってくれた
    「オボエテイル」と
この私を魂ごと記憶していると
その言葉をまたこの胸に

私は逝ける
遠くて近いその世界を信じて












ありがとう
貴方との
たった一日だけの恋は
今もこの魂が、覚えています。





親愛なる、恋い人










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