貴方を愛している。愛している。愛している。
貴方を苦しめる事も出来ないから、貴方を失うのも嫌だから。
貴方の前で醜い女でありたくないから。
もう、わすれてよ。
私は親戚類の援助もあって、なんとか高校を卒業した。
そして伯母達には、友人と暮らすからと言って、カオスの所に転がり込んだ。
学校だけは出ておきなさいと伯母もうるさかったし、カオスも辞めるのはもったいないよ、と言ってくれたから。
形式上はルームシェアだったので、自分で稼げる所はバイトで稼いだ。
後はほぼ伯母からの厚意の仕送りで何とかした。
カオスはカラコンをして仕事に行った。
でも2人とも異色な事には変わりなく、浮いた存在であることは常日頃感じていた。
何処にも定住できなくて、でも何処かで安心したくてたまらなかったのに。
2人肩を寄せ合って、このままどこかへ行けたらいいね、と何回も海を眺めた。



心は、満たされていた。



           *



1週間後は2人が出会った日だから、ちいさなお祝いをしようか、と言ってくれたのはカオスだった。
当初、私はそんな事も忘れていた。そうだったけ、と言ったほどに。
カオスは苦笑しながら、そうだよ、忘れっぽいサヤとからかった。
「何をするの」
「何でもいいさ。」
「美味しいものでも食べる?」
「それもいいね。1つはそれで決まり」
「カオスは何がしたい?」
「美味しいものを食べながら、おめでとうと言いたいかな。いや、おめでとうじゃないか。」
「ありがとう?」
「そう!そうだね。ありがとう、かな。」
「じゃ、それできまり!」
「楽しみだ」
「うん」


そんな会話をした日の午後バイト先で、私はそれを思い出していた。
(カオスに何か贈ろうか。何がいいかな・・・)
仕事にも気合が入るような気がする。仲間が、サヤ、何か良い事でもあったー?とからかった。

「ヒミツー♪」
「えー!気になるー教えなよー」
「ヤダー」
駆け足で持ち場に行こうとした時ーーー
フッと意識が遠のいて,私は最後に自分の倒れる音を聞いた。


目が覚めた時、私の顔を伯母がのぞいていた。
「サヤちゃん・・・・!」
そして告げられたのは、どうしようもないCHAOS≠セった。



カオス、カオス、ごめんさない。
この混沌≠セけは、貴方には教えられない。
ごめんなさい、カオス。
貴方はきっと私を探すだろうけど、私は。


この混沌≠抱えて、貴方の前から消えます。





真っ暗な部屋、もうサヤは帰っているはずなのに。


「サヤ・・・・・・・・?」






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