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「このダンス・マカービレで、唯一女性は2人なのね」

ふと、気がついた事を口にしてみた。
「ああ。色々な芸術家が描いたものを今まで見てきたが、女性はあまり描かれない。差別的だった時代を受け継いでいるんだろう。
修道女とか、后とか。何かしらの位に就いたものだっ・・・・」

途中で言葉が途切れてしまったカインにどうかした?と問いかけてみる。カインはまだそれを瞳を大きく見開いたまま見つめている。
そこに驚愕が含まれているのを悟って、ルナは首をかしげた。

「カイン?」

「女性の服は・・・服の色は」

「・・・・緑、ね。カイン?」

「・・・・ここの被害者の瞳もエメラルドだ。・・・ルナ」

先程より真剣味を帯びた瞳に、流石のルナも何かあると気づく。視線を下ろしたカインとそのまま見つめ合う形になる。

「緑が、どういう意味を持つの?」

自分が唾を飲み込む音が響き、そしてカインが口を開く。

「緑は・・・春に蘇る自然の美しさを表す、色だ。しかし、自然もやがて枯れる。緑は二面性を持つのだ。緑は美しさと同時に・・・・混乱と破壊を表す悪魔の色にもなる」








                           ****************




「悪魔の・・・色」

ぽたん、と。

水滴が落ちたのは、何の音だったのか分からないくらいに、一瞬にして場が静寂に満ちた。
カインの瞳が焦燥のような驚愕のような、なんとも言えない眼差しをしている。その瞳は固まってしまったかのようにこちらを見つめている。

「勘違いは、しないで欲しい。根本的には、緑とは美しい色なんだ。青春・快楽・歓喜・愛。初夏の色でもあるこの色は青春の色、恋の色だ。
でも季節が終わると共に緑は紅く、茶色くなり、枯れはてる。長続きはしない変動の色と考えられていた。その二面性が断罪の色・罪の色・悪魔の色という悪しき意味を生んだ」

「でも、少なからず犯人はその意味で取ってほしい雰囲気だと思うわ。私達の追う悪魔さんは」

腕を組んで、再度絵の中の女性を見上げる。白い骸骨に連れ去られることに怯える顔ー死に怯える顔。頬には赤く染まった−赤?

「カイン!あの女性の頬!」

思わず自分が指を指した先を追うカインの瞳がそれをおって怒りで赤く色づいていくのが目に見えて分かった。
ルナ自身も携帯のカメラズーム機能で追ってみる。






最後の生贄は祭壇の供物の手に。
もう君は僕のもの






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