シュッ!!

「させるかあっ!!!」



残った力で身体中の筋肉を最大限にして跳ね上げさせる!



(動けっ!!!)


バキィィィッ!!




があぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


ブシュウウウウウ!!!!



破裂。
咆哮。
血しぶき。



一瞬の隙に右腕を折り砕き、飛びずさった。ジェイドの獣の様な咆哮が響き渡る。立ち上がって口にたまった血を吐きだし、ささったままの右腕をゆっくりと引きぬいていく。


ググッ・・・グッ・・


ジェイドの咆哮は止まず、折れた右腕の傷口からはまだ血が噴き出していた。
だんだん止まってきてはいるようだから、おそらく自分の力で止めようとはしているのだろう。


「くっ・・!」


ようやく抜けた右腕を抜き去り、そのまま捨てた。ドサッという重量感のある音と共に右腕が落ちる。
その瞬間から穴の空いた腹がグズグズと音をたてながらゆっくりと治癒していく。


「きっさまああぁぁぁ!!!!」



血のとまった右腕を押さえながら獣のようにジェイドが叫び狂った。


「殺してやる!!貴様からではない!あの日と同じように、君の大事なものから壊してやるよ!!」


「っ!!しまった、ルナっ!!逃げろ!!」



シュッ!!



急いで彼女の元に飛んだが、ジェイドがコンマ一秒早い!



(間に合わない!)


あの日の光景がフラッシュバックする・・・・





<あの日、ジェイドに噛みつかれて己の運命を知ったアルテミスを見つけたのは路地裏だった。
ヴァンパイアに噛みつかれ、血を混ぜ合わされた者は7日後に同族となる。
息も絶え絶えの彼女はもう覚醒のための眠りを待つだけだった。


カイ・・・ン?


すまない・・・遅すぎた・・・


微笑む彼女。


お願い・・・殺して・・私が・・化け物になる前に・・


っ!俺にそれをやれというのか!


今は貴方しかいないじゃない!私を見つけた貴方しか!!!



・・・・俺の気持ちを知っての事か


悠然と微笑む彼女。


貴方に私をあげる、といっているのよ?私の心臓を、血を



魂は、あいつのもの、か


そうよ、この心臓を、血をあげても魂はあの人のモノ・・貴方に、ましてやあいつに渡すものか。でも貴方が少し良い化け物だから、私の心臓、血をあげようって言っているの

アルテミス・・・・


ふっ・・・と彼女の瞳が一瞬陰り、眠ってしまうのかと思ったが、やああって輝きを取り戻す。



神話の女神のように、アルテミスは一人のために・・・貫くの・・・おねか・・い・・貴方も・・・この・・匂いにもう・・・耐えられないんじゃなくて?



・・・・・っ・・・・貴女は残酷な人だ・・・



伸びきった犬歯が唇に触れているのに気がつかれている・・・
飢えが、乾きが・・・



早く・・心臓を・・早く!!!




切れた、理性






彼女の残酷な最後のセリフが、今も残っている。





スキと言えなくて、ゴメンナサイ。
大嫌いよ。化け物。でも、貴方に会えて、良かったわ





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